少子高齢化や労働人口の減少に伴い、日本全国の地方自治体やローカルビジネスは今、かつてない大きな転換期を迎えています。限られた人的資源のなかで、住民サービスや事業の質を落とさずにどう継続していくか。その強力な切り札として「DX」や「データ活用」が叫ばれていますが、地方の現場からは「IT人材がいない」「日々の業務がパンク状態で新しいことを考える余裕がない」という切実な声が多く聞こえてきます。
「ITでカンタンに、もっと効率的に。日々発生する顧客や社外とのやり取りをしっかり一元管理できれば、現場の『見えない不安』や『ミス』は消えていきます。そうして生まれた『業務の余白』こそが、地域に新しい価値を生む原動力になります」
そう力強く語るのは、ビジネス向けコミュニケーションプラットフォーム『Re:lation(リレーション)』を開発・提供する株式会社インゲージの代表取締役、和田哲也氏です。同社は2014年の創業以来、問い合わせ対応領域の課題解決に挑み続け、13期目を迎えた現在、日本全国の企業や自治体から熱い支持を集め、着実な成長を遂げています。
単なるメール管理ツールの枠を超え、いまや「コミュニケーションを起点としたDXツール」として進化を続ける『Re:lation』。今回は、代表の和田氏へのインタビュー、そして具体的な導入事例を基に、データ活用がもたらす地方創生の真の可能性を紐解きます。

株式会社インゲージ 代表取締役社長 和田 哲也氏
1.ゲーム開発とアメリカでの原体験から生まれた「Make IT Easy」
インゲージのすべてのプロダクトの根底には、同社がビジョンとして掲げる 「Make IT Easy(ITをもっとカンタンに、楽しく)」 という思想が流れています。このビジョンが生まれた背景には、和田氏がこれまでのキャリアで直面した2つの原体験がありました。
1つは、和田氏が大学を卒業して最初に歩み始めた、ゲーム開発エンジニアとしての経験です。ビジネスで使われるITシステムは多少不便でも「会社が決めたものを使う」となるのが一般的でした。一方で、ゲームの世界は「直感的で使っていて楽しい」ことが大前提です。この経験から、和田氏は「売れるゲーム」の要素として「パッと見て興味を持ってもらえること」「使い方がすぐに分かること」「やり終わった後にもう一度やりたいと思うこと」の3つを導き出します。
「いかに高い次元でこの3要素を実現するかを日々突き詰めていたからこそ、業務で使うツールの使いにくさに強い問題意識を持ちました。ビジネスツールであっても、ゲームのように分かりやすく、楽しいものを作りたい、という思いが現在のビジョンの根源になっています」 もう1つは、前職でアメリカに滞在していた際の経験です。通販サイトで注文した商品が届かず、問い合わせをしても一向に回答が来ないトラブルに直面しました。しかし、それは企業のホスピタリティが低いわけではなく、急成長に「顧客対応の仕組み」が追いついていなかったことが原因でした。企業の成長を止めてしまう対応のパンクを解決し、顧客ひとり一人と誠実に向き合い続けられるツールの必要性を痛感したことが、『Re:lation』誕生のきっかけです。

▼コミュニケーションプラットフォーム『Re:lation(リレーション)』サービスサイトhttps://ingage.jp/relation/
2.コミュニケーションは作業ではなく、企業の未来を決める「資産」
ビジネスにおいて、社内外のコミュニケーションは最も重要な要素です。約束期日や注文内容の確認といったやり取りの一つひとつが、実はビジネスにおける重要な「タスク」そのものだからです。
しかし、一般的なメールソフトでは、在庫の引き当て、出荷の手配、入金の確認など、1つのメッセージの裏側に発生する膨大なタスクをチームで共有しきれません。そのため、個人のメールボックスに情報が埋もれ、属人化が進むことで、ミスや対応漏れが起こりやすくなります。
『Re:lation』は、一般的なビジネスメールだけでなく、LINE、Chatwork、Instagram、電話など、現代のビジネスシーンで使われる10種類以上のコミュニケーションチャネルを1つの画面に集約し、チームで共有・一元管理できるサービスです。
特定の顧客と複数のチャネルでバラバラにやり取りをしていたとしても、すべての対話履歴が人物軸で紐付き、タイムラインとして可視化されます。そのため、「誰が、いつ、どのような内容のやり取りをしたか」という対話のプロセスすべてがデータとして蓄積され、確実なチームプレイでの対応が可能になります。
「私たちは、日々のコミュニケーションを単なる『作業』ではなく、企業の貴重な『資産』であると捉えています。本来、コミュニケーションは企業の意思決定の源泉です。しかし従来はその源泉が記録されず、活用されずに消えていっていました。それを構造化・再利用可能にするのが『Re:lation』の役割です」
この体験価値を最大化するため、インゲージはシステムの開発言語に「Ruby」を採用しました。「人が理解しやすく、開発者自身が楽しみながら品質の高いソフトウェアを生み出せる言語」を選択することで、変化に強く、使う人にとっても負担のない、継続的に改善され続けるサービスを実現しています。

3. 独自AI基盤「コムアセット」が創り出す、業務の“余白”
現在、『Re:lation』は最先端のAI技術を融合させたDXプラットフォームへと進化を続けています。
一般的なAI返信機能は、送られてきた一通のテキストだけを読み取って回答を生成するため、的外れな内容になりがちです。しかし、『Re:lation』のAIは、過去のやり取りや顧客との関係性をきちんと遡って把握した上で、適切な回答を生成します。さらに、企業の取扱商品データ、プロセス情報、特有の注意事項なども、独自のAI基盤『コムアセット』へ簡単に登録・蓄積することができます。これにより、社内の業務プロセスや過去の細かな経緯をすべて踏まえた、極めて精度の高いテキスト出力が可能になります。
「これにより、社内の業務プロセス情報や過去の細かな経緯をすべて含んだ上で、極めて精度の高いテキストを出力してくれるようになります。実際に、この機能を応用したAI機能を導入されたある企業様では、人間が直接対応しなければならなかった問い合わせ件数が、5分の1(80%削減)にまで激減したという成果が出ています。
私たちは『AIに任せられることはAIに任せ、人は人がすべき仕事に注力する』という役割分担の最適化を進めています。なぜなら、AIは主役ではなく、人間が価値を生むための『余白を作る存在』だからです」
AIによってルーチンワークから解放されたスタッフは、創出された時間を使って、より深い顧客提案や、人間にしかできない創造的な施策にリソースを集中できるようになります。
4.「バラバラ管理」から脱却した自治体のリアル
この『Re:lation』がもたらす「業務の可視化」や「属人化の解消」は、労働人口の減少やIT人材不足に直面している地方の企業や自治体において、極めて切実な課題解決に繋がっています。特に、今や地方創生の大きな経済的柱となっている「ふるさと納税」の現場では、非常に大きな成果を上げています。
ある地方自治体のふるさと物産振興課では、ふるさと納税に関する問い合わせ窓口(メールや大手ECサイトの問い合わせなど)の集約を目的に『Re:lation』を導入しました。
導入前の大きな課題となっていたのは、ふるさと納税の業務プロセスにおいて、市役所内の複数部署だけでなく、外部のふるさと納税代行会社なども複雑に関わっていた点です。寄附者からの問い合わせは、配送時期、返礼品の仕様、ワンストップ特例申請の手続きなど多岐にわたり、それぞれ担当する部署や事業者が異なります。
これまでは、部署間や外部会社とのやり取りが口頭、メールの転送、紙での引き継ぎなどバラバラに管理されていました。そのため、「誰がどこまで対応しているか」の進捗がリアルタイムに追えず、情報のブラックボックス化が進んでいたのです。この「バラバラ管理」は、確認のために寄附者を長く待たせてしまう非効率な事務処理を生むだけでなく、最悪の場合は対応漏れや二重返信といった深刻なリスクを常に孕んでいました。
しかし『Re:lation』の導入によって、関係者全員が同じプラットフォーム上で対応・管理を行う体制へと劇的に移行しました。
最大の変化は、市役所の複数部署や外部の代行会社が、まるで一つのチームのように情報をリアルタイムに共有できるようになったことです。全ての問い合わせの対応状況と過去の対話履歴がひと目で把握できるため、窓口に届いた内容に応じて、迷うことなく「適切なタスクの分配」ができるようになりました。部署をまたいだメールの転送や紙での引き継ぎといった無駄な手隙作業は一切不要になり、事務処理のスピードと正確性が向上。寄附者を待たせることなく、迅速かつ確実な案内が可能になったのです。
また、こうした自治体のふるさと納税においては外部の代行会社を利用しているケースが非常に多いですが、その主要な1社であり、多くの自治体を支援している「シフトプラス株式会社」もまた、『Re:lation』のユーザーです。同社のように地方自治体の窓口を大規模に支える専門企業も、日々の膨大なコミュニケーションを『Re:lation』で一元管理しています。自治体と代行会社が同じ思想のツールを活用し、効率化と高品質な対応を両立させることで、地方創生の強固なバックオフィスインフラが形成されています。
シフトプラス株式会社の事例:https://ingage.jp/relation/testimonials/shiftplus/
行政専用のセキュアなネットワークである「LGWAN」にも対応している『Re:lation』は、秘匿性の高い住民情報や寄附者情報を扱う自治体でも安心して導入できる強みがあり、労働人口が減少する地方において、サービスの質を落さず着実に事業を継続できる現場づくりを支援しています。
moconavi LGWANクラウドゲートウェイサービス 連携について:https://ingage.co.jp/archives/15153/
おわりに:データに眠る「違和感」こそが、次の成長へのヒント
売上やコストといった「数値データ」の活用が進む一方で、「コミュニケーションデータ」の活用については、多くの企業や自治体がどのように扱えばよいか悩んでいます。しかし、日々の問い合わせ、社内外のやり取り、顧客との会話の中にこそ、事業改善や地域活性化のヒントが数多く含まれています。
最後に、全国でデータ活用や組織のDXに悩み、一歩を踏み出せないでいるビジネスパーソンや自治体担当者の方々へ向けて、和田氏からのメッセージをお届けします。
「コミュニケーションのないビジネスや行政サービスは存在しません。にもかかわらず、その多くが十分に活用されていないのが現状です。
もし皆さんが日々の業務の中で、『なぜかお客様の不満が増えている気がする』『現場の仕事が見えない』といった、言葉にできない『違和感』を感じられたとしたら、ぜひ、その背景にあるコミュニケーションのデータに目を向けてみてください。 データ活用は、単なる数値管理ではなく、現場から不透明さや焦りといった心理的業務負荷を取り除き、次なる一手へ集中するための『業務の余白』を生み出すためのものです。その余白こそが、新たな地域の魅力作りや、温かい対人サービスといった、人間にしかできない価値創造に繋がると確信しています。まずは小さな対話の可視化から、私たちと一緒に地方の未来を変えていきましょう」
【取材協力】株式会社インゲージ
クラウドサービスの開発・提供。ひとり一人のお客様と向き合えるコミュニケーションプラットホーム「Re:lation(リレーション)」の開発と提供。
企業サイト:https://ingage.co.jp/














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