「AIを地方の“右腕”に」            データ活用が「場所の不利」を消し去る、地方創生の新たな夜明け

AWC様インタビュー22

人口減少、少子高齢化、そして若者の流出。日本の地方が直面している課題は深刻です。しかし、その一方で、地方にはまだ世界に知られていない素晴らしい技術や商品が数多く眠っています。

「地方と都市部の格差を、テクノロジーの力で埋めたい」

そう語るのは、株式会社ALL WEB CONSULTINGの代表取締役、江守義樹氏です。同社はEC(電子商取引)のコンサルティングを主軸としながら、最新のAI技術を駆使して、地方企業の「自走」を支援しています。

なぜ今、地方創生にデータ活用が必要なのか。そして、AIは地方企業の救世主になり得るのか。自らも地方出身であり、現場の泥臭さを知る江守氏に、その真髄を伺いました。

株式会社ALL WEB CONSULTING 代表取締役社長 江守義樹氏

1. 開発の原点は「地方の現場」で感じた情報格差と属人化

江守氏のキャリアのスタートは、意外にもコンサルタントではなく、一人の「EC運営者」でした。出身地である福井県でEC事業に携わっていた当時、彼が肌で感じたのは、都市部との圧倒的な「情報格差」でした。

「地方でECをやっていると、周りに相談できる相手がいないんです。最新のマーケティング手法も入ってこない。結果として、独自の、あるいは一世代前のやり方に固執してしまう『ガラパゴス化』が起きていました」と江守氏は振り返ります。

その後、東京でコンサルタントとして実績を積んだ江守氏でしたが、独立を前にしてある行動に出ます。それは、故郷である福井のEC企業の現場に入り、3ヶ月間、文字通り「無給」で働くことでした。そこで目にした光景が、現在のサービスの原点となっています。

現場には、長年ECを支えてきた熟練の担当者がいました。しかし、その運営は完全に「勘と経験」に頼った属人化されたものでした。「もし、この人がいなくなったら、この会社のECは止まってしまう」。そんな危機感を覚える一方で、膨大な受注データや顧客データが、全く活用されずに眠っている現実がありました。

「データはある。でも、それを読み解く『人』がいない。そして、新しい人を採用することも、育てることも地方では非常に難しい。この負のループを断ち切るには、専門的なスキルがなくても、誰もがデータに基づいて意思決定できる仕組みを作るしかないと考えたのです」

2. 「分析のプロ」を不要にする、AIによるデータの民主化

ALL WEB CONSULTINGが提供するソリューションは、単なる「分析ツール」に留まりません。それは、いわば「24時間365日働く、超優秀なデータアナリスト」を各企業に提供することに等しいと言えます。

従来のデータ分析といえば、複雑な関数を駆使してエクセルを操作したり、高価なBIツールを導入したりする必要がありました。しかし、江守氏が目指したのは、そのプロセスを極限まで簡略化することです。

「弊社のツールでは、楽天市場などの受注データをドラッグ&ドロップするだけで、リピート率や同梱率、新規客の獲得状況といった重要指標が一瞬で可視化されます。しかし、本当に重要なのはその先です。数字を見て『ふーん、そうなんだ』で終わってしまっては意味がありません」

そこで同社が導入したのが、生成AIを活用した「アドバイザー機能」です。江守氏らプロのコンサルタントが持つ膨大な知見をAIに学習させ、データに基づいた「次の一手」をAIが提案する仕組みを構築しました。

例えば、「今月の売上が目標に届かない原因は?」と問いかければ、AIがデータを解析し、「新規顧客の獲得コストが上がっているため、まずは既存顧客へのメルマガ配信頻度を高め、リピート率を○%改善すべきです」といった具体的な指示を返してくれます。

「これまではコンサルタントを雇わなければ得られなかった『判断』の質を、AIによって民主化する。これこそが、人材不足に悩む地方企業にとっての最大の武器になると確信しています」

3. コスト削減から売上10倍へ。AIがもたらす圧倒的な「実利」

「データ活用」や「DX」という言葉は、時として抽象的で、現場からは敬遠されがちです。しかし、江守氏が語る事例は、驚くほど具体的でインパクトのあるものばかりです。

まず、多くの企業が直面する「コスト」の壁。江守氏は、AIを活用することで外注費を劇的に削減できると説きます。 「あるクライアント様では、これまで外部に委託していたバナー制作や記事の執筆、さらには社内資料の作成をAIに置き換えました。その結果、月に100万〜200万円もの外注費削減に成功したのです。地方企業にとっての200万円の利益改善は、経営を根本から変える力を持っています」

そして、守りだけでなく「攻め」のデータ活用でも劇的な成果が生まれています。 消費財を販売する企業では、AIを用いて商品ページを徹底的に分析・改善し、顧客のインサイトに刺さる訴求へと変更しました。その結果、なんと半年で売上が10倍にまで跳ね上がったと言います。

また、別の事例では、SEO(検索エンジン最適化)のための記事作成にAIを導入。それまで月間500PVほどだったサイトが、半年後には5万PVを超える巨大メディアへと成長しました。

「これらの成果は、決して魔法ではありません。今まで『やりたいけれど、時間も人も足りなくてできなかったこと』を、AIという右腕が肩代わりしたことで、本来持っていた商品のポテンシャルが引き出されただけなのです」

実績紹介:https://allweb-consulting.co.jp/works/

4. 競合にもノウハウを公開。その裏にある「地方創生」への覚悟

ALL WEB CONSULTINGの取り組みで特筆すべきは、自社のツールやノウハウを、あえて同業他社や金融機関にも提供している点です。ビジネスの常識からすれば、競合を利する行為にも見えますが、そこには江守氏の深い想いがありました。

「よく驚かれますが、私たちが戦っているのは競合他社ではなく、地方の『衰退』という現実です。駅前の商店街がシャッター通りになり、代々続いてきた名店が後継者不在で消えていく。そのスピードに、一社のコンサルティングだけで対抗するのは不可能です」

江守氏は、銀行など金融機関と連携し、銀行員が自ら地域企業のDXを支援できるよう、AI活用の研修を行っています。また、自治体と協力して「AI使いこなし人材」の育成にも力を入れています。

「地域に根ざした金融機関や自治体の方々が、データとAIの武器を持てば、支援の輪は一気に広がります。日本中に、自走できる地方企業が増えること。それが結果として、私の故郷を含めた地方全体の活性化につながると信じています。ノウハウを独占する時代は終わりました」

5. データがもたらす「属人化からの脱却」と「チームの成長」

地方企業の多くが抱えるもう一つの悩み、それが「特定の担当者が辞めたら終わり」という属人化の問題です。江守氏は、データ活用こそがこの問題を解決する唯一の手段だと語ります。

「一人のカリスマ店長の勘に頼るのではなく、データを共通言語にすることで、チーム全員が同じ目線で議論できるようになります。なぜ売れたのか、なぜ売れなかったのか。それが数字で明確になれば、新入社員でもベテランと同じ土俵でアイデアを出すことができるんです」

実際に同社の支援を受けた企業では、会議の質が劇的に変わったと言います。「なんとなく」という言葉が消え、「データによると、この層の反応が良いので、次はこうしましょう」という前向きな提案が飛び交うようになる。この「組織文化の変革」こそが、データ活用がもたらす真の価値なのかもしれません。

「AIは仕事を奪うものではなく、人間を単純作業や終わりのない分析から解放してくれるものです。空いた時間で、お客様との対話を深めたり、新しい商品を考えたりする。そんな『人間にしかできないクリエイティブな仕事』に集中できる環境を作ることが、私たちの役割です」

6. 悩める担当者へ。未来を切り拓くための「最初の一歩」

インタビューの最後に、江守氏はDXやデータ活用に二の足を踏んでいる担当者や経営者へ向けて、力強いメッセージを送ってくれました。

「『AIなんて難しそうだ』『うちの会社にはまだ早い』。そう思われる気持ちはよく分かります。でも、AIの進化は待ってくれません。3年前のAIとは、今のAIは全くの別物です。まずは、無料のチャットボットに今日起きた問題を相談してみるだけでもいい。その一歩が、数年後の御社の運命を分けるかもしれません」

江守氏の視線は、常に現場にあります。どれだけAIが進化しても、最後は「人と人との熱量」が重要だと彼は言います。

「私たちは、ツールだけを売るつもりはありません。AIという強力なインフラを携えて、泥臭く現場の皆さんと一緒に汗をかきたい。地方には、まだまだ可能性があります。データという光を当てることで、その可能性を一緒にカタチにしていきましょう

【取材協力】株式会社ALL WEB CONSULTING

「AI×データ分析」でECサイトの劇的な成長と内製化を支援するコンサルティングファーム。戦略策定からシステム導入、実行支援まで、現場に寄り添った伴走型サポートを提供している。 企業サイトhttps://allweb-consulting.co.jp/